運動すると体が鍛えられ、丈夫になると昔からよく言われています。しかし、スポーツ選手やアスリートの中には、大会中に風邪を引いたり体調を崩してしまう人が少なくありません。

実はこれにも免疫力が深く関わっています。運動に対して明らかな反応を示す免疫細胞として、ガン専門と言われるリンパ球のひとつ、NK細胞があります。このNK細胞は運動によって活性が高まり、運動をやめることで活性が低下します。

しかし、激しい運動や2時間以上の運動の後には、NK細胞の活性は著しく低下するのです。この時期には免疫力も非常に低下しており、ウイルスや細菌に感染しやすくなります。

普通は運動した後、6時間から24時間で細胞活性は元に戻りますが、中には1週間以上活性が低下したままの状態が続く場合もあります。突然の激しい運動や長時間の運動はむしろ免疫力を下げてしまうのです。

しかし一方で、運動を習慣にしている人の安静時のNK細胞活性は、標準よりもずっと高い状態を保っています。つまり、1回だけの激しい運動は逆効果ですが、継続した運動習慣を持つことによって、より高い免疫力を手に入れることが出来るのです。

また、一言で運動をすると言っても、年齢によってその内容は大きく変わってきます。例えば、高齢者が無理をして激しいトレーニングを行うと、脳卒中や循環器などの重い病気の引き金となってしまうことがあります。中高年者には、ウォーキングや軽いジョギング、エアロビクスなどの有酸素運動が適しています。

反対に成長期や青年期には、身体に問題がなければむしろ積極的に強い運動を行うことで総合的な体力が付き、免疫機能も向上します。大切なのは、「自分に合った」運動を「継続して」行うことです。

運動に熱中していると、ついつい2時間を越えるオーバートレーニング状態に陥ってしまうので、必ず適度な休息を入れ、体力の回復を図ることが必要になってきます。無理をしないことが体力と免疫力を上げて病気に負けない体を作る第一条件なのです。

そして、運動をする際に注意しなければならないのは「楽しく運動する」ことです。人間の脳は楽しみ、快感を感じるとβ-エンドルフィンというホルモンを分泌します。NK細胞はこのホルモンに結びつき、より活性が向上します。

つまり、楽しみながら運動をすることで免疫力をさらに上げることができるのです。楽しいと感じれば運動を習慣化し、継続化して長く続けることが出来ます。

これが押し付けられて義務的に、嫌々トレーニングをしていると、運動自体がストレスになり逆に免疫力を下げてしまいます。けして無理をせず、疲れたと思ったら休憩し、楽しく運動を続けることが、免疫力を上げるコツです。